「おかあちゃん昨日貰ったトマトはどこやったの
1個も食べてないんだけど、全部食べたのね」
母の怒号で目が覚めた。
「トマトなんか知らないよ。
食べていないし、見てもおらん」
朝からテンション高い母と
対照的に祖母はひょうひょうと答える。
「昨日貰ったがね、食べちょったがね覚えとらんとな」
母は繰り返し繰り返し祖母に聞くが
祖母は
「知らん、覚えちょらん」の一言。
祖母の認知症はすすんでいる。
最後には祖母が怒り出し
「私のことを馬鹿にすればいいがね
あなた様は何でも覚えていていつでも正しいんでしょうよ。
私を踏みつけて優越感に浸ればいいがね」
ひねくれだした。
こうなると祖母はどうすることも出来ない。
母は祖母を責めようと思っていっているのではない
母が祖母の認知症を認めたくないのだ。
本当は覚えてるよという答えを期待して
何度も何度も同じ事を聞くのだ。
それが祖母にとっては屈辱を与えられたように思え
祖母はひねくれる。
祖母が母の強い口調を許す事は難しいから
母が祖母の認知症を認め
祖母が忘れたことを言及しなくなればいい。
母娘関係ってむずかしい。
私はトマトを美味しいとおもえない。
砂糖をふったら苺の味がするって言うけど
それでも食べようと思えないものなのに
トマトごときで喧嘩して血圧上げるなんて信じられない。
トマトをあげた妹が悲しそうな顔をしていた。
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