父が生きているらしい。
弟の家にFAXがあった。
「なんで弟のFAX番号を知っているの」
と母がたずね
妹が弟の家に父が一時お世話になっていたことを話した。
「そんな話聞いていないよ。弟はうそつきだ。」
母暴走。
「嘘はついていないよ。話していないだけ。
心配かけるから話さなかっただけのこと。」
母をなだめたがおさまりそうにない。
弟の携帯には母からの着信履歴が連なるだろう。
一攫千金狙わなくてもいいから
普通に生活できればいいから
お父さん家族に心配かけないで下さい。
妹は純粋に父の生存を喜んでいたが
今までが今までだけに
素直に喜んでいいか分からない。
「財布がない。預金通帳がない。
いままで貯めてきたお金が一銭もない。」
祖母は泣き出し、小犬が寄ってきた。
「お前達は何の足しにもならない」
犬に八つ当たりして、祖母はまた泣いた。
自分でしまいこんで忘れているだけなんだけど
自分が忘れてしまったことを認めたくないから
第三者(泥棒)のせいにする。
自分でしまいこんで→さがす→見つかる→しまいこむ
自分でしまいこんで→さがす→見つからない→さがす
全て繰り返し。
祖母がこんな調子だから
母を守ってくれる存在、父の生存は嬉しい気もする。
父が全うに稼いだら万事OKなんだけど
父は堅実とは程遠い、胡散臭い仕事しか好まない。
幸せな笑顔あふれるあたたかい家庭は
家でも実現可能か。
今悩んでいることが笑い飛ばせるぐらい
明るい未来が待っていると信じている。
問題児だった妹も結婚して落着いたぐらいだもの
未来はそう悪いもんじゃない。
明るい未来を描けば実現されるさ。
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