病院に定期健診。
気がつくと前回の検診から1年以上経過していた。
「えーすちゃんが結婚したら
自分の事以上に嬉しい。楽しみにしているから。」
先生は昔から変わらず優しかった。
先生は手術の時見舞いに来た元彼を知っている。
精神的に壊れてしまって
社会復帰できるのか
危うい状態の私を知っている。
まともに歩くことが出来ず
車椅子に座って
ベットで吐き続けた私を知っている。
元彼に車の中で長時間言葉による暴力を受けた。
「元彼は間違ったことをいっている。
私は間違っていない。
責められるべきは私ではない。
別れなければならない。この人と一緒にいたらおかしくなる
嫌だ嫌だ嫌だ」
「間違った事を言っていると指摘しても
この人は分からない。
この人は常識云々じゃなく自分が一番なのだ。
指摘する事は簡単だけど
そうすることによって私はひとりになる。
ひとりになるのだったら我慢しなければいけない。
我慢すればひとりじゃなくてもいい
手術のお見舞いに来てくれるかもしれない
結婚したら変わるかもしれない」
自分の正直な気持ちと30女の打算とで
心が悲鳴を上げた。
私の人生で一番苦しかった時期だ。
手術とは関係ない出来事にもかかわらず
どこにも行くことが出来なかった私を
病院のベットで寝かせてくれた。
看護婦さんにも先生にも家族にも
たくさんの人に優しくされた。あれから1年以上経つ。
定期検査の結果は良好。
先生に私が元気である事を伝えられてよかった。
今度会う時は嬉しい報告ができたらいい。
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